真夏のカヤックの上は、想像以上に過酷です。
日陰はどこにもなく、水面からの照り返しもあります。
人間は水分を摂って休めばしのげますが、バッテリーはそうはいきません。
私はエレキ用のリチウムイオンバッテリーに、100円ショップで買った断熱材で「ひさし」をかけています。
今回は、その効果を表面温度計で実測したので、数値とあわせてご報告します。
結論から言うと、バッテリー上面の温度が50.0℃から36.2℃へ、13.8℃も下がりました。

使っているもの:100均の断熱材だけ
材料はこれだけです。
- アルミ表面の断熱材(エアコンの室外機カバーなどに使われるもの・100円ショップ)
- ダブルクリップ2個

作り方も何もありません。
断熱材を適当な大きさに切って、バッテリーの上に山型にかぶせ、両端をダブルクリップで挟んで固定するだけです。
工具も加工も不要で、費用は100円ほど。
撤収時は外して丸めれば場所も取りません。
見た目は正直、お世辞にもスマートとは言えません。
ですが、効果は数字にはっきり現れました。

実測:気温31℃の日に13℃の差
8月9日(日)にひさしのあるなしの効果の違いを検証するため、以前紹介した放射温度計で、バッテリー上面の表面温度を測ってきました。
なお、この日の天気はやや雲があるものの、ほぼ晴れでしっかり日差しが差していました。
まずはひさしをかけてしばらく釣りをしていました。
10時を過ぎ、気温も31℃となったところで、ひさしの下のバッテリー表面の温度を測ります。
36.2℃、ひさしの下でも結構な温度です。

この後はひさしをはずして1時間半ほど釣りをします。
そして再度温度計測。
なんと50.0℃です。

念のため、再度ひさしをかけて30分ほど釣りをしていると、元の温度近くまで下がったので一安心です。
以上、結果はというと、
| 状態 | 温度 |
| 気温 | 31℃ |
| ひさしあり | 36.2℃ |
| ひさしなし | 50.0℃ |
その差、13.8℃。
気温31℃という、真夏としてはむしろ穏やかな日でこれです。
真夏日・猛暑日の直射日光下では、ひさしなしのバッテリーが何度まで上がるのか、考えるだけで恐ろしくなります。
そして、同時にこんな簡単なひさしでもしっかり効果があることがわかりました。
なお、これはあくまで表面温度です。
バッテリー内部の温度までは測れませんので、その点はご承知おきください。
ただ、表面が50℃になる環境でバッテリー内部が涼しいということは、まずないでしょう。
→ 使った温度計はこちら:水温を「ピッ」と測る ~ポケットに入る放射温度計 A&D AD5617WP~
なぜ温度を気にするのか:リチウムイオンバッテリーと熱
そもそも、なぜここまで気にするのか。
リチウムイオンバッテリーにとって、熱は最大の敵だからです。
その1:寿命が縮む
リチウムイオンバッテリーは、高温になるほど内部の化学反応が活発になり、劣化が加速します。
一般的に、高温環境での使用や充電は、常温に比べて劣化を大きく早めるとされています。
私が使っているエヴォテックのSE-121000は決して安い買い物ではありませんでした。
7~8年は使うつもりの道具が、夏の数回の釣行で寿命を削られるのは、あまりに惜しい話です。
その2:安全上のリスク
こちらのほうが重要です。
リチウムイオンバッテリーは、極端な高温では熱暴走という現象を起こす可能性があります。
膨張、発煙、最悪の場合は発火につながる事象です。
もちろん、市販のバッテリーには保護機能が組み込まれています。
私のSE-121000も、セルが高温になった際に安全装置が働く設計です。
適応温度も-20〜65℃と幅を持たせてあり、表面50℃程度で直ちに危険というわけではありません。
ですが、水の上には逃げ場がありません。
艇の上で万一のことが起きたとき、消火も避難もできません。
「保護機能があるから大丈夫」ではなく、そもそも高温にしないという考え方が、水上では正しいと思っています。
→ バッテリーの詳しい話はこちら:エレキでリチウムイオンバッテリーを5年使ってみて ~エヴォテック SE-121000~
その3:性能も落ちる
高温はバッテリーの出力にも影響します。
一日の後半にエレキの力が落ちてきたと感じたら、残量だけでなく温度も一因かもしれません。
帰り道の動力を守るという意味でも、温度管理には意味があります。
ひさしのポイントと注意点
- アルミ面を上にする。 断熱材のアルミ面が日射を反射してくれます。裏返さないように。
- 密閉しない。 バッテリーをすっぽり包むと、こもった熱の逃げ場がなくなります。上からかぶせるだけの「ひさし」にして、側面は開けておくのがコツです。私が山型にかけているのはそのためです。
- 風で飛ばないように。 ダブルクリップで留めているとはいえ、軽い素材です。強風の日は飛ばされないか確認を。艇の上のゴミを水域に落とさないのも、釣り人のマナーです
- 配線を挟まない。 エレキのケーブルをクリップで噛まないよう注意してください。
- 根本的な対策も忘れずに。 ひさしはあくまで応急的な工夫です。可能であれば、バッテリー自体を日陰になる位置(シートの下など)に積む配置を工夫するほうが確実です。
まとめ
- 100均の断熱材+ダブルクリップの「ひさし」で、バッテリー上面が50℃→36.2℃(13.8℃減)
- 費用は100円ほど、加工も工具も不要
- リチウムイオンバッテリーにとって熱は寿命・安全・性能すべての敵
- 水の上に逃げ場はない。そもそも高温にしないという発想が大事
- 密閉せず「上からかぶせるだけ」がコツ
何万円もするバッテリーを守るのに、100円と1分の手間です。
真夏にカヤックやフロボで浮かぶ方は、ぜひお試しください。
そして人間のほうも、日除けと水分補給をお忘れなく。
バッテリーより先に、乗っている人が熱中症になっては元も子もありませんので。
では、また。


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